喘息/内科
2019/09/20
目次
大人でも発症するおそれあり! 喘息の予防法とは
喘息は子供だけの病気ではありません。
実は大人の喘息も存在するため、どんな人も喘息発症のリスクがあります。
そこで、喘息の基礎知識、原因や予防をご紹介します。
喘息とは?
喘息は大きく2つの種類に分けられます。
ひとつは15歳頃までに発症する小児喘息、もう一つは成人してから症状が現れる大人の喘息です。
大人の喘息はさらに
- 小児喘息が治りきらず、大人になってから再発するタイプ
- 中高年以降、新たに喘息を発症するタイプ
に分かれます。
喘息というと子供の病気だと思われがちですが、成人してから発症する大人の喘息も決して少なくありません。
成人の喘息は、この30年で3倍以上に増加したといわれており、ストレスなども喘息を発症させる原因として考えられています。
喘息の症状
喘息は、春や秋など気温差が大きない季節や、夜間から早朝にかけて発作が起きやすい病気です。
発作の程度は軽い咳から「ゼーゼー、ヒューヒュー」という喘鳴(ぜんめい)など、様々な症状があります。
最近では、咳だけの喘鳴も増加しています。
咳が続くと胸に痛みがあったり、喉に違和感を覚えたりします。
これが重症化すると、気道がふさがって窒息死という事態を招くこともあります。
喘息の原因
喘息の原因は、小児も大人も同じく、気道の炎症です。
気道とは、鼻から肺に至るまでの空気の通り道です。
喘息の人の気道は、症状がないときでも常に炎症を起こしており、健康な人に比べて気道が狭くなって空気が通りにくくなっています。
炎症を起こした気道の粘膜は刺激に弱く、常に炎症の状態にあることが、喘息の根本的な原因です。
正常な気道だと何も問題がないようなホコリやタバコ、ストレスなども、気道の状態が炎症している場合、喘息の発作が起きてしまいます。
その結果、気道の内部がむくみ、痰が増えるなどの症状があらわれます。
気道の炎症を引き起こすもの
喘息の原因は気道の炎症ですが、気管支粘膜が過敏になることによって、アレルギー性炎症、気道収縮も引き起こします。
気管支粘膜が反応する原因としては、以下のようなものがあります。
- ウイルス(ライノウイルス、RSウイルス)、マイコプラズマなどの感染
- 乾燥した空気での発声や運動
- アレルギーを引き起こす物質(アレルゲン)であるホコリやダニ、ペットの毛など
- 煙(タバコや空気汚染)
- ストレス
非アレルギー性の喘息
喘息には、アレルギー性と非アレルギー性のものがあります。
小児喘息の場合はハウスダストや花粉といったアレルゲンがきっかけで気道に炎症を起こしますが、大人の喘息には、アレルゲンが原因ではない非アレルギー性のものが多くみられます。
非アレルギー性の喘息について、詳しい原因については特定できていません。
ただ、ストレスを感じたときや、気道の粘膜を刺激するタバコによる煙、気温の変化で冷たい空気に急に触れること、香水や化粧品の成分なども気道を刺激する要因となっています。
また、肥満などは気道を圧迫し、脂肪細胞が炎症物質を生み出すため、日ごろの食生活におけるカロリー過多なども、間接的な原因となっています。
気道の炎症を起こす風邪やインフルエンザなどの感染症も、気道の粘膜を刺激しやすいため注意が必要です。
喘息から起こりやすい合併症
アトピー性皮膚炎
乳幼児期に発症しやすく、症状が悪化したり、回復したりを繰り返しながら長期間続く、皮膚の症状です。
アトピー型喘息の患者さんによく合併がみられます。
副鼻腔炎
鼻の周囲の骨に囲まれた空洞である副鼻腔に炎症が起き、鼻汁が出たり痛みを感じたりする病気です。
アスピリン喘息の患者さんは、副鼻腔炎を合併している場合が多いという報告もあります。
喘息の予防法
喘息を予防するためには、普段の生活を見直すことが大切です。
室内のハウスダストを減らすために清掃を心がけ、アレルゲンを排除することで予防につながります。
1.気道の状態を把握する
ピークフローメーターという機械を使って、息を吐いたときの息が流れる速さを計測できます。
ピークフローメーターにより気道の挟まり具合を知ることができるので、喘息の悪化を防ぐだけではなく、医師の診断時に大きく役に立ちます。
2.アレルゲンに注意する
アレルギー性の喘息は、アレルゲンできるだけ減らすことで発症を予防できます。
ハウスダストやダニなどが原因の場合には、室内の清掃を定期的に行ってください。
タバコは、煙などが発作を誘発します。
また、受動喫煙によっても喘息症状が悪化します。
そこで、禁煙することにより、症状や発作が半減します。
3.風邪に注意する
大人の場合、風邪やインフルエンザをきっかけに喘息を発症することがあります。
そのため外出時はマスクをし、家にいる時は室内外の気温差をなくすように気をつけておきましょう。
4.激しい運動に注意する
過去に喘息を発症した方は、運動をした時に喘息の発作が始まることもあります。
運動を行う時は事前に医師に相談し、どの程度の運動が許容範囲なのかを確認しておきましょう。
5.ストレスに注意
ストレスが原因となって喘息の発作を起こすこともあります。
ストレス負荷の強い環境をなるべく避け、十分睡眠などの休養をとりつつ、ストレスをためないようにしておきましょう。
喘息にかかってしまったら・・・
喘息の治療に用いられるのは、主にステロイド薬と気管支拡張薬です。
気管支拡張薬は、吸入薬、貼付薬、内服薬があり、ステロイド薬は吸入するタイプが一般的です。
喫煙の習慣がある方は、喘息を悪化させるだけではなく、周囲の人にも喘息を発症させるリスクもあります。
喘息は治療を始めてもすぐに完治せず、高血圧や糖尿病のように慢性の病気であるため、継続的な治療が必要となります。
「喘息かな?」と思ったら、自己判断で治療を進めようとせず、医療機関を受診しましょう。