切れ痔/肛門外科
2019/09/14
目次
切れ痔の痛みや出血が長引いたらどうすればいい?
よく耳にするであろう病気の一つ「切れ痔」とは、「裂肛」とも呼ばれている症状です。
切れ痔(裂肛)は肛門の皮膚の裂傷で、痛みや痒み、出血を伴いますが、出血は内痔核と比べると少量です。
歯状線よりも下の裂傷ですので、痛覚があることから痛みを伴うものの、静脈叢(じょうみゃくそう)はなく、出血もさほどではありません。
しかし、痛みや出血が長引くと、患者さんにとってはつらいもの。
そこで切れ痔の原因や予防法、治療についてご説明します。
切れ痔の原因
切れ痔の主な原因は、便秘と排便後の洗浄です。
便秘は便が硬くなるため、排便の際に力むなどして無理やり排出せざるを得ません。
結果、肛門周辺を傷つけ、切れ痔となります。
また、排便後の洗浄の際、肌質に合っていない硬いトイレットペーパーの利用や、何度も何度もトイレットペーパーを使用することで裂傷を招くケースもあります。
切れ痔の種類
切れ痔は急性裂肛と慢性裂肛の2種類に分類されます。
急性裂肛は切れ痔となって間もないもので、いわば突発的に起こります。
一方、慢性裂肛は常に同じ場所に裂傷が起きます。その際、
- 周辺に肛門ポリープ等が出現する
- 切れ目が深くなる肛門潰瘍や周辺の炎症によって括約筋が硬化し、肛門が狭くなる肛門狭窄(きょうさく)が起こる
- 化膿することによって高妄執胃潰瘍、さらには痔ろうへと発展する
といった、様々なケースがあります。
切れ痔の予防法
切れ痔の予防法には、以下のようなものがあります。
便秘予防
切れ痔の主な原因である便秘を予防することは、切れ痔予防にもつながります。
切れ痔は外からの衝撃だけではなく、体の中からの排便時の衝撃によっても発症します。
食物繊維を含んだ食事の意識、運動不足解消などは便秘の解消法・予防法ですが、便秘を予防することで切れ痔のリスクも低減します。
ウォシュレットなど温水洗浄便座の活用
切れ痔の原因の一つに、排便後のトイレットペーパーによる洗浄の負担も挙げられます。
トイレットペーパーによる肛門洗浄は、衛生を保つために大切なものです。
しかし、トイレットペーパーの紙質が硬い場合や、力を入れすぎての洗浄は肛門に負担を与え、切れ痔となります。
切れ痔を回避するためには、ウォシュレットなど温水洗浄便座による洗浄を活用してみましょう。
ウォシュレットに代表される温水洗浄便座は、液体による洗浄を行います。
そのため、肛門への負担を軽減しつつ、清潔感を保つことができます。
トイレは和式よりも洋式に
お手洗いの際、和式ではなく洋式を使用してみてください。
和式は体勢的に、洋式よりも肛門周辺に力が入りやすいため、便秘の時にはより大きな負担が肛門周辺にかかることになります。
洋式は、和式と比べるとリラックスした排便が可能なので、切れ痔のリスクも低減できます。
切れ痔の対処法
切れ痔の際には以下の対処法が考えられます。
軟膏を使用する
初期段階であれば、軟膏での対処が可能です。
肌・体質に合った軟膏を使用することで裂傷を抑えられますが、症状が進んでいるケースや慢性裂肛の場合、軟膏では改善がみられないケースもあります。
排便時の負担を軽減する
切れ痔が確認された際には、排便時の負担軽減を心掛けてください。
たとえば、トイレットペーパーによる洗浄の際も力任せに行うのではなく、撫でるようにしたり、あるいはトイレットペーパーの紙質を柔らかく肌に負担を与えないものにしてみましょう。
切れ痔を触らない
切れ痔は裂傷になりますので、傷口が気になることもあります。
その際、手で触れると細菌が入り込み、回復が遅れたり、新たな症状を併発してしまうケースもあります。
気になる部分ではあっても、触れないよう心掛けましょう。
清潔・衛生を保つ
切れ痔は肛門の裂傷です。
傷口に細菌が入り込む二次的リスクも考えられるので、周辺を清潔に保つことも大切です。
長時間座りっぱなしの人は、肛門周辺に汗をかくことが多く、汗が傷口に入り込んで痒みを生み、裂傷を悪化させてしまうこともあります。
こまめに汗を拭きとるなど、衛生面に気をつけましょう。
切れ痔が出来てしまったら・・・
切れ痔の治療法は、切れ痔の種類によって異なります。
急逝裂肛の治療
急逝裂肛の場合、薬の使用など保存療法が可能です。
食生活や排便習慣などで予防を心掛け、肛門に負担をかけないようにしておくと、次第に改善していきます。
慢性裂肛の治療
慢性裂肛の場合、治療方法は手術のみです。
慢性裂肛自然と治るものではなく、一時的に症状が治まっていても再発する可能性が高いため、抜本的な治療は医療機関でしか行えない点にご注意ください。
慢性裂肛の手術は、裂肛した部分と繊維化の影響で硬くなった部分を切開・切除して肛門を広げます。
このような外科的治療が必要になるので、慢性裂肛の場合は医療機関で診察を受けてください。
切れ痔以外の可能性について
切れ痔に限らず、どのような病気でも二次的な症状が懸念されます。
切れ痔も、裂傷からばい菌・細菌が入り込むことで合併症を起こすリスクもあれば、裂傷の状態も人それぞれです。
一度、専門的な医療機関を受診して、どのような切れ痔なのか診察してもらいましょう。