高血圧/内科
2019/10/04
目次
高血圧の正しい知識を身につけ、しっかり高血圧と向き合いましょう
血圧は健康診断などでもよく計測されますが、日常会話の中でも「血圧が上がった、下がった」という会話をすることも少なくないでしょう。
血圧とはそもそも何か、血圧が高いことで身体にどんな悪影響があるのか、さらに高血圧を予防する方法や対策をご紹介します。
高血圧とは?
普段から高血圧にならないよう気をつけている方も多いでしょう。
そもそも血圧とは、血管内の圧力を指し、心臓から流れる血液が血管を押す力のことです。
心臓がポンプのような働きをして、血液が全身の血管に押し出されていきます。
血管が収縮して血液を送り出す際の、最も高い血圧が収縮期血圧(最高血圧)と呼ばれています。
対して、心臓が拡張して血管に送り出す血液をため込む際の、最も低い血圧は拡張期血圧(最低血圧)といいます。
この血圧は、日常生活における食事や運動、精神的ストレス、そして飲酒・喫煙などにより常に変化します。
安静にしている状態でも血圧が高い状態を高血圧と呼びます。
高血圧の原因
高血圧の原因としては、食事の偏りによる栄養不足、運動不足、飲酒・喫煙といった生活習慣が考えられます。
塩分の摂りすぎ
塩分を摂りすぎると、体内の血液量が増加して、血圧が上昇し、高血圧の原因となります。
1日に必要な塩分は6g未満が理想とされています。
カリウムやカルシウムの不足
野菜や果物に多く含まれるカリウムという栄養成分には、塩分を排出する働きがあります。
カリウムが十分に摂れていない場合、高血圧になりやすくなります。
また、カルシウムには骨に貯蔵されるほかにも、心臓の筋肉や脳の神経細胞の働きをコントロールする重要な役割があります。
カルシウムが不足すると、血液中のカルシウム濃度が高くなります。
すると、血液の流れが悪くなるので、心臓は強い力で血液を送り出そうとします。
その結果、血圧が上昇して高血圧になりやすくなります。
肥満
肥満の方は高血圧になりやすくなります。
特に内臓脂肪型肥満は血圧が上昇しやすく、体重を減らすことで血圧が下がるという調査結果もあります。
心臓から送られる血液の量は体重に比例して増加するため、肥満の方は高血圧になりやすくなるというわけです。
飲酒・喫煙
アルコールには血管を拡張させる作用があります。
一時的に血圧を下げてくれる効果もありますが、過度の飲酒は交感神経が刺激され、心拍数が増え、血圧が上がります。
また、喫煙についても、タバコに含まれるニコチンの影響で血圧が上昇するほか、動脈硬化や狭心症、心筋梗塞のリスクも高まります。
高血圧の分類
運動したり寒さを感じることで一時的に血圧が上昇する状態は、高血圧とはいいません。
高血圧は、日常の生活習慣が原因となって、安静時にも血圧が高い状態が続くことを指します。
血圧の基準値は140/90mmHgと定義されており、最近では日常生活を送っている際の血圧の値が重要とされています。
それは、病院で測る際と、家庭内で測る際の環境に差が生じるためです。
成人における血圧値の分類は、次のとおりです。
赤字の部分が、一般的に「高血圧」といわれる状態です。
分類 | 診察室血圧(値:mmHg) | 家庭内血圧(値:mmHg) | ||
---|---|---|---|---|
収縮期血圧(最高値) | 拡張期血圧(最低値) | 収縮期血圧(最高値) | 拡張期血圧(最低値) | |
正常血圧 | <120 かつ <80 | <115 かつ <75 | ||
正常域血圧 | 120~129 かつ/または <80 | 115~124 かつ/または <75 | ||
高値血圧 | 130~139 かつ/または 80~89 | 125~134 かつ/または 75~84 | ||
I度高血圧 | 140~159 かつ/または 90~99 | 135~144 かつ/または 85~89 | ||
II度高血圧 | 160~179 かつ/または 100~109 | 145~159 かつ/または 90~99 | ||
III度高血圧 | ≧180 かつ/または ≧110 | ≧160 かつ/または ≧100 | ||
(孤立性)収縮期高血圧 | ≧140 かつ <90 | ≧135 かつ <8 |
※日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」より
高血圧に分類されたままの状態で放置していると、身体に異変を感じたり、心疾患や腎臓病などの命の危険を感じる重大な病気につながります。
脳卒中
高血圧が引き起こす病気の中で、最も命の危険にさらされるリスクが高いのが、脳卒中です。
収縮期血圧(最高値)が10mmHg上昇すると、脳卒中になるリスクが男性では20%、女性では15%も高くなります。
脳卒中にかかって助かった場合でも、言語障害などの後遺症が残り、リハビリが必要になることが多いです。
心疾患
高血圧が原因で、心筋梗塞や狭心症といった心疾患を発症するリスクも高まります。
男性のほうが高血圧の影響は強く、脳卒中と同じく収縮期血圧(最高値)が10mmHg上昇すると、心筋梗塞や狭心症を発症するリスクが高まります。
腎硬化症
高血圧が続くと、腎臓の動脈でも動脈硬化が始まります。
すると腎臓に流れる血液が減少し、腎臓の血管の壁の弾力が失われ、ガラスのような物質(硝子様物質)がつまり、腎臓の機能が低下します。
腎硬化症は自覚症状がないまま進行することもあります。
そのまま放置すると腎臓の機能が低下し、透析治療が必要になります。
高血圧の予防方法
高血圧にならないためには、食生活においてカロリーや塩分の過剰摂取、偏った食事による栄養バランスの崩れに注意することや、適度な運動を心がけることが大切です。
食生活を改善する
肥満は血圧の上昇に大きく関係しています。まずは自分の体重が適正かどうかを確かめましょう。
そしてカロリーの過剰摂取に注意しながら、適正体重を維持すること。
そのためには、栄養バランスを考えた朝昼晩の規則正しい食事が大切です。
塩分の摂りすぎは血圧を上げてしまいますので、献立を考慮して「主食・主菜・副菜」を毎食そろえることが望まれます。
また、飲酒の習慣は血圧が上昇する要因となりますので、高血圧の方の飲酒については医師に相談してください。
運動を習慣化する
食生活の改善のほか、運動によって血圧が下がる効果も期待されています。
運動により消費カロリー量が上がって体重が減少するだけではなく、血管内皮機能が改善し、降圧効果が得られるとされています。
そのほか脂質や糖質の代謝、インスリン感受性の改善といった、循環器合併症の死亡率を低下させる作用もあります。
このように高血圧だけではなく、さまざまな病気の予防にも役に立ちます。
効果的な運動は、1日30分から1時間程度のウォーキングやジョギング、水中運動、自転車などの有酸素運動を週に3回以上行うこととされています。
高血圧にかかってしまったら・・・
まずは高血圧にならないよう、ご紹介した予防法を実践してみましょう。
それでも健康診断などで高血圧と診断されてしまったら・・・。
高血圧は放置すると危険な病気を発症する可能性が高くなりますので、病院で適正な診察を受けることをお勧めします。