インフルエンザ/内科
2019/10/04
目次
インフルエンザの基礎知識と正しい予防
インフルエンザ(Influenza)は、毎年世界各地で流行する、最も有名な感染症のひとつです。
その症状は風邪とよく似ていて、区別がつきにくいこともあります。
しかし、風邪と勘違いしたまま放置しておくと、悪化の一途をたどります。
そこでインフルエンザの特徴や感染経路、インフルエンザと風邪の違い、そしてインフルエンザの予防法と対処法についてご説明します。
インフルエンザとは?
インフルエンザは、インフルエンザウィルスを原因として発症する感染症です。
インフルエンザの種類には、主に以下の3つがあります。
- A型インフルエンザ
- B型インフルエンザ
- C型インフルエンザ
インフルエンザに感染すると、強い喉の痛みや高熱、筋肉痛や関節痛といった症状があらわれます。
インフルエンザは主に11月から1月ごろにかけて流行し、時に1シーズンの患者数が1000万人を超えることも・・・。
4月ごろから感染が減少していく傾向にあるものの、夏にインフルエンザを発症するケースもみられます。
インフルエンザの特徴と症状
A型インフルエンザの特徴と症状
一般的に「インフルエンザ」と聞いて、皆さんがイメージする症状は、A型インフルエンザの症状です。
世界的に最も流行するのも、このA型インフルエンザです。
その症状は他のタイプよりも激しく、また免疫が機能しにくくなり、ワクチンによる対策も効果が薄れてしまうことがあります。
A型インフルエンザの主な症状には、次のようなものがあります。
- 38度を超える高熱
- 飲食が困難なほどの喉の痛み
- 関節痛や筋肉痛
- 鼻水や咳 など
B型インフルエンザの特徴と症状
B型インフルエンザは、A型ほどではないですが、こちらも毎年流行するタイプです。
B型はA型に感染した時ほどの高熱が出ないこともあります。
胃腸炎に似た症状も見られますが、胃腸炎は1~2日ほどで回復に向かうのに対し、B型インフルエンザは症状が3日以上続くケースもみられます。
B型インフルエンザの主な症状には、次のようなものがあります。
- 37度台の熱が出る(38度台の高熱は出ないことがある)
- 胃腸炎やお腹の風邪に似た症状(腹部の痛み、下痢など)
C型インフルエンザの特徴
C型インフルエンザは4歳以下の幼児がかかることが多く、大人は感染しにくいとされています。
発症しても、症状は普通の風邪と変わらない場合があるので、インフルエンザではなく普通の風邪だと考えてしまう方も多いようです。
インフルエンザの感染経路
インフルエンザは主に、インフルエンザウィルスが喉や鼻の上気道などにある粘膜に感染して発症します。
感染の原因となるのは、インフルエンザに感染した人の咳やくしゃみなどで飛び散ったウィルスです。
これを「飛沫(ひまつ)感染」といいます(※飛沫とは、咳やくしゃみによって飛び散る細かい水滴のこと)。
インフルエンザウィルスがついた手や指など触れた物から感染する「接触感染」もあります。
インフルエンザA型もしくはB型は、感染してから1日から3日間の潜伏期間の後に高熱、倦怠感(けんたいかん)、関節痛や筋肉痛といった症状が突如あらわれます。
続いて喉の痛み、咳や淡、鼻水、といった呼吸器の症状がみられます。
小児の場合、インフルエンザにかかると、中耳炎の合併や熱性痙攣や気管支喘息を誘発することもあります。
近年では、幼児・小児がインフルエンザの発症後に急性脳症を引き起こすケースが増加しています。なかには、命の危険にさらされる可能性もあります。
一方、高齢の方がインフルエンザにかかると、気道粘膜が弱まって細菌が侵入しやすくなり、肺炎を発症するリスクが高まります。
インフルエンザと風邪の違い
風邪と勘違いされることも多いインフルエンザの症状。
しかし、インフルエンザと風邪の症状には、主に次のような違いがあります。
インフルエンザ | 風邪 | |
---|---|---|
症状 | 高熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、咳、喉の痛み、鼻水 など | 喉の痛み、鼻水、鼻づまり、くしゃみ、咳、発熱(高齢者では高熱でないことがある) |
発症 | 急激 | 比較的ゆっくり |
症状の部位 | 強い倦怠感など全身症状 | 鼻、喉など局所的 |
※平成19年12月 厚生労働省 「インフルエンザの基礎知識」より
新型インフルエンザとは?
インフルエンザにはA型、B型、C型のほか、「新型インフルエンザ」と呼ばれるものがあります。
新型インフルエンザとは、鶏や豚といった動物から人間へ感染し、広がっていくインフルエンザの種類です。
動物から感染するため、人間は免疫をもっていません。
そのため、毎年決まった時期に流行する季節性のインフルエンザ(A型・B型・C型)とは異なる形で、世界的に大流行するおそれがあります。
インフルエンザの予防方法
前述の通り、インフルエンザは人との会話、咳やくしゃみといった飛沫感染と、インフルエンザウィルスのついた手や指でものを触り、別の人がそのものを触りその手で鼻や口を触って感染する接触感染があります。
ここでは、飛沫感染と接触感染、それぞれの予防法をご紹介します。
飛沫感染の予防
くしゃみや咳によって飛び散った飛沫に含まれているインフルエンザウィルスが、人間の鼻や喉に入り込んで感染します。
飛沫感染を防ぐためには、インフルエンザが流行する時期に外出する際、マスクを利用すると有効です。
また、知らないうちに自分自身がインフルエンザに感染していることも考えられます。
同じく外出する際にはティッシュやハンカチなどを携帯しておき、くしゃみや咳をする時はティッシュやハンカチで口元と鼻をおさえるなど、周囲の人に配慮しましょう。
接触感染の予防
日常生活でよく触れることがあるドアノブやエレベーターのボタン、スマートフォンなどあらゆるものにインフルエンザウィルスが付着していることが考えられます。
こういったものに触れたことから起こる接触感染を防ぐためには、手洗いが一番です。
石鹸をよく泡立ててから、手のひら、手の甲、指の間、爪までしっかりと洗いましょう。
予防接種
注射によってインフルエンザワクチンを体内に接種し、インフルエンザに対する免疫力を高めます。
予防接種を受けることで、インフルエンザが発症する可能性を下げることができるだけでなく、もし発症しても重症化することを防ぐ効果があるという研究結果が出ています。
ワクチンの効果は、およそ5か月間持続するといわれています。
インフルエンザが流行してからではなく、早めに予防接種を受けることをお勧めします。
インフルエンザにかかってしまったら・・・
もしも
- 「高熱がなかなか下がらない
- 「ひどい倦怠感に襲われていて、関節痛や筋肉痛がする」
といった、インフルエンザが疑われる症状がみられた場合は、まず医療機関を受診して適切な診断と治療を受けてください。
また、インフルエンザの症状が治まった後でも、3日から7日間はインフルエンザウィルスが排出されるといわれているため、熱が下がっても人の集まる場所への外出は控えましょう。