骨粗鬆症/内科
2019/09/18
目次
骨粗鬆症の基礎知識と正しい予防
「骨の生活習慣病」とも呼ばれる骨粗鬆症(骨粗しょう症)。
その名前は聞いたことがあっても、実際にどんな症状なのか分からない方も多いのではないでしょうか?
そこで、骨粗鬆症の症状や原因、発症のメカニズムや予防についてご紹介します。
骨粗鬆症とは?
骨が弱くなり、骨折しやすくなる骨の病気を「骨粗鬆症」といいます。
骨粗鬆症により骨がもろくなると、くしゃみや転倒で手をつくといった、わずかな衝撃で骨折してしまうことがあります。
主に影響を受けやすい骨は、背骨や手首の骨、太ももの付け根などです。
特に背骨がもろくなってしまうと、身体を支える背骨が体の重みに耐えきれず、圧迫骨折が起こりやすくなります。
すると、姿勢が丸くなったり身長が縮んだりします。
骨粗鬆症は、特に女性や高齢者の男性や女性に多くみられます。
近年では栄養不足や運動不足といった生活習慣が原因で、若い世代の人も骨粗鬆症を発症することがあります。
骨粗鬆症の原因
骨は「骨代謝」、つまり新しくつくられることと溶かして壊されることを繰り返しますが、そのバランスが崩れてしまうことで、骨粗鬆症が引き起こされます。
その原因としては、加齢や生活習慣、医薬品などが挙げられます。
骨の量が減って密度が低くなると骨折しやすく、あるいは日常の動作で骨折を起こしてしまうことがあります。
そんな骨粗鬆症の原因をご紹介します。
加齢
骨は一度出来上がった後も、古くなった骨が改修され、再び新しい骨がつくられます。
これを「骨の新陳代謝」、または「骨のリモデリング」と呼びます。
骨の密度は18歳くらいでピークに達し、その後40代半ばまでは一定に保たれますが、50歳ごろから低下します。
通常、十分なカルシウムが摂れている状態であれば、骨をつくる働きと骨を壊す働きのバランスが釣り合い、健康な骨がつくられます。
しかしカルシウム不足や、加齢によって老化した身体の骨をつくるためのホルモンが不足してくると、骨がスカスカになってしまいます。
栄養不足・運動不足
朝食を抜いたり、栄養が偏るような食事は、骨粗鬆症の原因となります。
特に10代の頃の成長期は、丈夫な骨をつくる大切な時期です。
この時期にダイエットなどで栄養が不足してしまうと、将来の骨密度に影響を及ぼし、骨粗鬆症の原因となります。
骨の密度は18歳くらいでピークに達し、その後40代半ばまでは一定に保たれますが、50歳ごろから低下します。
また、運動不足の方も注意が必要です。
骨に負荷がかかると、丈夫な骨をつくる細胞が活発になります。
反対に身体を動かす習慣が全くない方は将来、骨が衰えやすくなるのです。
飲酒・喫煙の習慣
適度な飲酒は食欲を増幅させ、その結果として栄養を十分に摂ることができる場合もあります。
しかしながら、お酒には利尿作用があります。
体内にとりこまれたカルシウムが、必要な分まで排出されることもあるため、過度な飲酒は避けたほうがよいでしょう。
また、喫煙は食欲をなくし、カルシウムの吸収を妨げます。
特に女性の喫煙は、骨から血液中へのカルシウムの流出を防ぐことから、女性ホルモンの分泌を妨げます。
結果、喫煙中の女性は、骨粗鬆症を引き起こすリスクが高まりやすくなります。
病気・医薬品
特定の病気や、医薬品が原因となって引き起こされる骨粗鬆症もあります。
原因となる病気としては
- 関節リウマチ
- 副甲状腺機能亢進症
- 糖尿病
などが挙げられます。
これらの病気は、骨代謝に必要なホルモンが不足する、または骨を形成するのに必要な細胞に異常をきたし、骨密度が減るといった影響がみられます。
また、骨粗鬆症を引き起こす医薬品としてはステロイドが代表的な存在ですが、乳がんや前立腺がんの治療に使われる性ホルモン低下療法薬も、骨粗鬆症の原因となる場合があります。
骨粗鬆症の症状
骨粗鬆症は、生活習慣や医薬品の影響によって骨の量が減り、骨折を起こしやすくなっている状態また骨折を起こしてしまった状態です。
ところが骨粗鬆症は、自覚症状はほとんどありません。そこで、
- 「立ち上がる時背中や腰が痛む」
- 「身長が縮んだ」
- 「背中が曲がってきた」
というような状態がみられたら、骨粗鬆症の可能性があると考えたほうがいいでしょう。
骨粗鬆症が進行すると、健康な人であればケガを伴わないような転倒などでも骨折するようになります。
これほど骨が弱くなってしまうと、背中の曲がりもひどく、身長も大きく縮んでしまいます。
その他にも、
- 食事量が少ないのに、お腹がいっぱいになる
- 疲れやすい
- 前から着ていた服が身体に合わない
- 重いものを持つ時、立ち上がる時に腰や背中が痛む
このように、日常生活にも骨粗鬆症に気づくヒントが隠れています。
骨粗鬆症の予防法
骨粗鬆症の予防には、骨密度を低下させない食事に気を使い、骨の強度を上げる運動の習慣が大切です。
食事のポイント
高齢になると、小食になることで必要な栄養の摂取が不足してしまう傾向にあります。
骨粗鬆症の予防には、カルシウム、ビタミンD、ビタミンKといった骨の形成に有効な栄養素を積極的に摂取しましょう。
カルシウムが含まれる食品 | 牛乳、乳製品、小松菜、大豆製品など。推奨摂取量は1日700㎎から800mgです。 |
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ビタミンDが含まれる食品 | サケ、ウナギ、カレイ、シイタケ、卵など。 |
ビタミンKが含まれる食材 | 納豆、ホウレンソウ、小松菜、ブロッコリー、レタス、キャベツなど。 |
運動のポイント
骨は、負荷がかかればかかるほど骨を作る細胞が活発になり、骨が強くなります。
日常生活の中にできるだけ運動を取り入れ、運動量を増やしましょう。
特にウォーキングやジョギングといった全身運動が効果的ですが、日常生活の中で歩くようにするなどの工夫から始めることなど、無理なく続けることが大切です。
住み慣れた家の中でも、移動する際には注意が必要です。
特に高齢者の転倒事故が多く、階段や玄関、浴室などで転倒し、ケガをする事故が増えていますので、移動の際につまずかない環境づくりにも取り組みましょう。
骨粗鬆症になってしまったら・・・
骨粗鬆症になってしまったら、骨が弱っているので激しい痛みを感じる場合もあります。
特にウォーキングやジョギングといった全身運動が効果的ですが、日常生活の中で歩くようにするなどの工夫から始めることなど、無理なく続けることが大切です。
現在では、骨粗鬆症を治療する薬が登場し、骨粗鬆症の症状の進行に応じた治療法を受けることができるようになりました。
まずは、医療機関を受診し、医師の適切な診断を受けましょう。