睡眠時無呼吸症候群/内科
2019/09/20
目次
突然死を招く? 睡眠時無呼吸症候群の正しい対処法
家族やパートナーから「寝ている時に呼吸をしていない」と指摘されたことはありませんか?
実は、寝ている時に呼吸がない状態が続くのは、病気です。
「疲労がたまっているから・・・」
「いつものことだから・・・」
と甘く見て放置してしまうと、糖尿病や脳卒中などの合併症を引き起こし、最悪の場合、突然死に至ることもあります。
そこで、寝ている時に呼吸が停止してしまう睡眠時無呼吸症候群について、その原因や症状、正しい対処法をご紹介します。
睡眠時無呼吸症候群とは?
睡眠時無呼吸症候群は、寝ている時に無呼吸状態になる病気です。
英語では「Sleep Apnea Syndrome」、頭文字をとって「SAS(サス)」と言われます。
「無呼吸」の医学的な定義は、10秒以上の呼吸停止(気道の空気が止まった状態)。
この無呼吸状態が1時間あたりに5回以上、または7時間の睡眠中に30回以上ある方は、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。
寝ている間の無呼吸に気づくことは難しいため、検査を受けていない潜在患者が多くいると推測されています。
しかし、この睡眠時無呼吸症候群が、生活に様々な影響を及ぼしたり、生活習慣病を引き起こす可能性があります。
無呼吸が続くことで、身体の負担が大きくなり、高血圧や心疾患などの生活習慣病に発展。
昼間の眠気によって起きる事故(交通事故・労災事故)に関係するといった、社会的な問題にまで発展します。
睡眠時無呼吸症候群の症状
睡眠時無呼吸症候群の主な症状には、以下のものがあります。
- いびきをかく
- 日中の強い眠気
- 倦怠感や頭痛
- 寝ている時に何度もトイレに起きる
- 寝相が悪く、寝汗をかく
- 日常生活で集中力や記憶力が低下
睡眠時無呼吸症候群は、その名の通り睡眠時に呼吸が止まることですが、自分自身で気づくことは、なかなか難しいでしょう。
一般的に睡眠時無呼吸症候群の重症度は、AHI(Apnea Hypopnea Index)という無呼吸低呼吸指数であらわします。
AHIは、10秒以上の無呼吸・低呼吸の状態が1時間当たりに発生する回数を意味します。
低呼吸の状態とは、呼吸が浅く、弱くなる状態です。
このAHIが5以上認められ、日中でも眠気に襲われるという場合、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。
また、無呼吸によって血液中の酸素が低下し、睡眠が中断されると、
- 健康な人に比べて高血圧になるリスクが2.89倍
- 夜間心臓突然死は2.57倍
- 脳卒中・脳梗塞は1.97倍
と、それぞれの病気のリスクが高くなるという報告もあります。
睡眠時無呼吸症候群の原因
寝ている時に呼吸が止まる原因は、大きく分けると2種類あります。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)
空気の通り道である上気道に空気が入るスペースがなくなり、呼吸が止まってしまう病気です。
睡眠時無呼吸症候群の患者さんのほとんどは、この閉塞性睡眠時無呼吸症候群に該当します。
舌の付け根や軟口蓋が気道へ落ち込むことや、首回りやについた余分な脂肪の沈着、扁桃肥大などによって喉・上気道がすぼまり、気道がふさがってしまうことが原因として挙げられます。
肥満のため首回りに脂肪のある方は、閉塞性睡眠時無呼吸症候群を引き起こす可能性が高く、肥満だけではなくイビキをよくかく方は、この症状になりやすいです。
中枢性睡眠時無呼吸症候群
「中枢性睡眠時無呼吸症候群」は、脳から呼吸指令が送られないことによって生じる無呼吸です。
睡眠時無呼吸症候群の中でも、このタイプは数パーセントの割合です。
「閉塞性」と違って上気道、肺や胸郭、呼吸筋、末梢神経の状態に問題はありません。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群の場合は、気道が狭くなって呼吸がしにくくなるため、一生懸命呼吸しようという働きがみられます。
一方、中枢性睡眠時無呼吸症候群の場合は、呼吸しようという働きはみられません。
この症状に陥る原因は様々です。
呼吸機能の低下や、心不全、脳卒中の疑いがある方に多く、あるいは鎮痛剤のオピオイドを長期間使用している人も、睡眠時無呼吸症候群に陥ったりします。
また、標高7,600m以上の高地で発症することもあります。
睡眠時無呼吸症候群の予防法
睡眠時無呼吸症候群は、肥満やいびきの疑いがある方だけではなく、誰もが注意しながら日常生活を過ごすだけでも、予防につながります。
1.体重を減らす
睡眠時無呼吸症候群は、肥満の方が発症する確率が高いので、体重を減らすことにより症状が改善することがあります。
2.飲酒を控える
アルコールの摂取は肥満と同じく、睡眠時無呼吸症候群の原因となります。
アルコールが身体に残ったまま眠ってしまうと筋肉が弛緩され、首回りや上気道を支える筋肉が狭くなり、普段みられないようなイビキをかいたりします。
アルコールは4時間程度で大部分は代謝されますので、就寝の4時間前には飲酒を避けるようにしましょう。
3.寝る時の姿勢を工夫する
仰向けで寝ると、重力の関係で舌や軟口蓋が落ち込みやすく、気道を塞いでしまいます。
そこで、体を横向きにして寝ると、舌や口の中の上部が落ち込むのを防ぐことができます。
睡眠時無呼吸症候群になってしまったら・・
睡眠時無呼吸症候群は、自分で気づくことは困難な病気です。
もし家族やパートナーから寝ている時の無呼吸を指摘されても、疲労のせいやストレスのせいにして放置すると、合併症を引き起こす恐れがあります。
まずは睡眠時無呼吸症候群を疑い、医療機関を受診するようにしましょう。